
いつも心にともしびを
アサヒ薬局では、11月20日、和漢薬研究所の友納正毅先生をお招きして、
自然薬や体と心の関係についてのセミナーが行われました。
アサヒ薬局には、地域の高齢の方々、また在宅で治療を行っている方が沢山いらっしゃいます。
その方々を招いて、
年齢と伴に、思い通りにならないことが増えてゆく中、
どうやって病気にかからずに、健やかに過ごしていけるか、
その秘訣とメカニズムを教えていただきました。
その中で、一番大切なのは、心豊かに過ごすことだと先生はおっしゃられました。
私たち、日本人は古くから「病気」という言葉を使ってきました。
決して「病体」ではない。

「気」つまり、心を病むから、体を病むのだと、先人たちは知っていたのです。
悲しいこと、辛いことを抱えているとき、人は病を発症します。
確かに、薬局でも、病気になったきっかけには、過労や、介護、死別など大きなストレスがかかった時に、
腸の疾患やリウマチ、脳こうそくなど大きな病気を発症されています。
運動会のかけっこを思い出してくださいと、先生は具体例をあげて説明してくださいました。
運動会の時走る前から心臓がどきどきしていました。
人間の体は、交感神経と副交感神経という二つの神経系からなりたっています。
交感神経は何か行動を起こす時のための緊張の神経、副交感神経は、心と体を緩めるリラックスの神経です。
人は行動を行うとき、一種の緊張状態を必要とします。
交感神経が働くと、心臓の動きは速くなり、血管は収縮します。
しかし、そのストレスが過度に長期にかかった時、人は交感神経が必要以上に働いてしますのです。
ずっと心臓が早鐘を打ち、血管が収縮し続けることは、人体にとって大きな負担になります。
様々な臓器に必要な血液が流れなくなります。
脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすこともあります。
そしてそのストレスは免疫とも深く関わってきます。
私たちの体は、外部からのウイルスや風邪などの抗原に対し、
好中球やリンパ球などが働き、体内に侵入した抗体を食べ、排除します。
しかし、ストレスがかかると、これらの白血球の機能が低下し、様々なウイルスや細菌に感染しやすくなるのです。
また癌や様々な免疫疾患も、ストレスによる免疫機能の異常で発症するというデータもあります。
交感神経が働き過ぎると、体温の低下をもたらしますが、
体温が低下すると免疫機能も低下してしまいます。
また、交感神経が働くと、血糖値が上昇し、上昇し過ぎた血糖は血管にダメージを与えます。
この日は、薬剤師の鴨川先生も血糖値のお話をしました。
このストレスの最も強いものとして、死別や離婚、別居などがあげられますし、
また人間関係、職場での不満、失望、老後の不安などがあげられます。
そんな時は、副交感神経の作用をあげ、リラックスさせる必要があります。
アサヒ薬局でもクマザサやニンジンなど血の巡りをよくする松寿仙や、
副交感神経の働きを高めるエゾウコギや牡蛎など
与えられた自然治癒力を高める自然薬で、体を整えるお手伝いをしています。

また、アサヒ薬局では、副交感神経を高め病を防ぎ、また一番のストレスになる「孤立」を防ぐために、
中野子先生をお招きして地域の方々の笑いヨガの集いを行ってきました。
地方では、若い世代が都会に出てしまい、高齢者だけが取り残される状況がありますが、
アサヒ薬局の笑いヨガは
高齢で孤立し、健康を害する悪循環を防ぎ、お互いを見守る場所になっています。
認知症を予防するための工夫に飛んだレクレーションや、代謝をよくし、生活習慣病を防ぐための全身の運動を盛り込み、
またいつも笑いヨガの終わりには、お弁当を用意し、おしゃべりをします。
お互いを思いやるとても大事な時間です。
参加される方々は家族のような繋がりを持ってきました。

そして、今日は笑いヨガの一周年記念ということで、多良先生をお招きしての笑いヨガも行われました。
多良先生は、お子さんが京都大学でアフリカ研究をなさっている関係もあり、いつも様々な国のお話で、
アサヒ薬局にインテリジェンスな風を吹かせてくれるとっても素敵な先生です。

インドの医師が生み出した笑いヨガは世界各国で行われていますが、体をうんと動かし、また合間、合間に笑うことで、自然と体も心もほぐれ、みんな笑顔になってゆきました。
時折参加者とお互い手をたたきあったりしますが、互いの体温を感じることがどんなに温かなことか、
安心することかとびっくりします。
そして、最後に、アサヒ薬局恒例の音楽会が行われました。

「病は心から」
私たちアサヒ薬局も、いつも心を大切に、と思い、行動してきました。
読書会やアートも心に灯を灯しますが、音楽もまたその場所にいる人々の顔を変える温かな力を持っており、
スタッフでありミュージシャンの大野さんや薬剤師の齊田さんが歌を歌っています。
ストレスの中に先生は死別ということをあげられました。
年齢と伴に、連れ合いや大事な人を失うという経験を人は避けることができません。
先生は東日本大震災に出向き、津波で家族を失った方々を訪問されています。
生き残った人間は、
生き残った運命があるから、最後まで生きるということをおっしゃられました。
アサヒ薬局でも死別を経験された方も参加があり、
今回の歌は
「涙そうそう」
亡くなった方が一番星のように空から見守っているという歌です。
薬剤師の齊田さんが、死別との向き合い方や患者さんたちへの想いを話し、歌を歌います。
死別を体験された方々の眼に涙が浮かびました。

人を愛すると、愛する分だけ、失うのは、切れるように胸が痛みます。
時の流れについていけないままに、心の行方を探し、それは時に体を蝕むほどの無力感を伴います。
人生には辛いことはなくなりません。
でも、こうして、歌の力や、互いを思いやっているよという言葉をかけながら、みんなの居場所を温かく作ってゆくことで、
ストレスからの病を防ぐことができたらと思います。
時に歌い、伴に涙し、悲しみにくれても、また帰ってくる場所があるよと、
人々を迎え続けられたらと思います。
笑いあいながら。
こうして巡りあったのだから。
伴に生きてゆく仲間として。