マイクを持ち、自ら語るということについて、、、始まりの涙~茶話会報告~

まずは、このイベントに係わってくださった、全ての方へ。

心からの感謝を。

 

お母さんたちの孤立をなんとかしたいという想いに、賛同してくれたなつのみさん、小川さん、

託児に入ってくれた薬剤師の方々、大らかな歌で、「楽しい」をくれた大野さん、

いつもの優しい眼差しで見守ってくださったヨガ講師のミナさん、子どもたちのことをいつも、一番に考えてくれる

子ども劇場のみえさん、、。

 

そして勇気を出して参加してくださったお母さんたち、

マイクを持ち語ってくれたお母さんたち、

本当にありがとうございました。

 

 

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少し時間が経ちました。それくらい、この会は、考えさせられることが大きくて、

涙も苦しみもまだ深くて、

まとめることができなかった、、、。

 

でも、書こうと思います。

 

知らない人が多いから。それゆえに、苦しんでいる人もいるのだから。

 

 

この記事を書けるようになったのは、ハートアート倶楽部のお母さま方との

出逢いがあったからだと思います。

涙の先にほんのわずかでも光が見えたから、、。

 

この会に来たかったけど、仕事が入ったという人もいて、

お悩み相談への返答も含まれているので当日私が語ったことも書きます。

 

7月8日、アサヒ薬局では、自閉スペクトラム、発達障害をお持ちの保護者さまのための茶話会が

開かれました。

 

 

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そもそも何故、この会を開こうかと思ったかと言うと、幾つか理由があります。

一番は、薬局で涙されるお母さんがとても多かったからです。

それくらい、葛藤も深いし、お子さまへの想いも深い。

そして話せる場所がない。

ぎりぎりを歩いている、、。

 

ぽんと押せば、泣き崩れる、、そんな姿をよく見ました。

 

一人きりで悩むのはよくない、、。ゆるやかな繋がりを築いて、

一緒に泣いたり、笑ったりしていけたらなと、、。

 

誰かが何かしたいとき、悩んだとき、

 

「I'm here」 

 

「私がいるよ」

 

とお互い言えたらと思ったのです。

 

現状は変わらなくても、もしかしたら、進んでいこうと思えるかもしれないと

思ったからです。

 

二つ目に未来を変えたいということです。

 

精神的な障害に関して、私たちにはどこかで、恥の意識が働くことがあります。

私自身家族の障害を周りに話せなかった。

 

友達は沢山いたけれど、本当の自分と表層の自分はどんどんとかい離し、

孤独を深めてゆきました。

 

でも、後に話すべてるの家を知って、精神障害をオープンにすることで、

変わることも広がることもあるのだと感じたのです。

 

そして当事者が発信することで、変わることもあるのだろうと。

 

自閉症や発達障害のような先天性の障害ではありませんが、閉鎖病棟に閉じ込められている人、

貧しさの中にいる人、死を選ぶ人、本当に辛い状況に居る人を

幼い時からずっとみてきました。

 

子どもたちの未来はそんな辛い場所にあってほしくない。

 

人としての尊厳を守りたい。

だから、障害のある人でも生き生きと楽しく社会の中で、雑多に暮らせたらと思います。

 

それで、べてるの家のように、日本でも各地で実現している例も沢山あるし、

なんだかゆるやかに繋がって、発信してゆけば、

佐賀でもそんな未来が開けるかもしれないと思ったのです。

 

 

 

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そんなことを考えてたら、素晴らしいお母さん方が賛同してくださったのです。

小川さんと、なつの実の小野奈津美さんです。

 

なつのみさんと、小川さんは、なんだか、人じゃないみたい気がする時があります。

なつのみさんは、ゆったりとした世論島の空気を纏っているせいか、

南の海の女神さまのように、広くて甘くて、果てしない感じがします。

 

小川さんは、一生懸命で賢くて、でもおっちょこちょいで、そこがとてもかわいい。

森の小人のように、きらきらしています。

 

その善良な神様のようなお二人が、語ってくださる姿は、なんだか、すごく素敵で、

とてもいい風が、アサヒ薬局に流れてくるのを感じました。

 

 

 

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なつのみさんにいただいた与論島のサトウキビで漬け込んだ梅ジュースを、飲みながら、会はスタートします。

 

最初に、このお二人が自身の経験を語ってくださいました。

小川さんは、学校の先生をなさっていた時に、自閉症の生徒が、ガラスを割って血だらけになって、

でもそれを覚えておらず同じようなことを繰り返してしまうという苦しみの告白に、

世の中に、そんな苦しみを持った子供がいるのかと気づかれます。

そして胸を動かされ、自閉症の子どもたちの場所で働かれることになりました。

 

そして、その後、ご自身のお子さまが自閉スペクトラムで産まれます。

 

同じ立場の保護者や子どもたちを

サポートするため、ピサポートムーミンで、計画相談やカウンセリングを始められます。

 

ピアサポート、、、。同じ立場の人がサポートする、、

とても素敵なとてもいい言葉だと感じます。

 

小川さん、大人数のところに適応しずらい息子さんのため、

少人数の保育園へ、来る日も来る日も三瀬の山へ、小さな赤ちゃんを連れて

子どもを送り迎えしていた、、。

マイクを持ち、語る小川さんの横で、私は、小川さんがよく語ってくれていた

その道中の柔らかくて、温かくて、

必死な時間を思い出していました。

 

息子さんの素晴らしいところも沢山語ってくれました。

 

 

 

 

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そして、奈津美さんは、自閉スペクトラムの子どもを持ち、

まだ若くて、右も左も分からず、不安でいっぱいだったときに、

同じように障害を持った子どもをもつお母さんたちと出逢います。

その出逢いが自分を変えてくれた、、、。

 

その想いから、今度は、自分が同じような立場のお母さんを少しでも

楽にできたらと、お子さまのことをカミングアウトされます。

悲しい時にふっと思い出した、祖母の故郷、与論島のお菓子の甘くて、懐しい味。

そんなお菓子の力で、みんなに温かさをあげたい、、。

そして、与論島のきび砂糖を使ったお菓子屋さんを始められます。

 

そこに、ぽつり、ぽつりと、同じような立場のお母さんが訪ねてこられる場所になりました。

 

私自身青い青い田んぼの中に、

あの場所があること。

 

なんだかとても嬉しく、なんだかとても懐かしい、、。

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そして、それから、参加者一人、一人がマイクを持ち、自らの経験を語ってくださいました。

個人情報に触れるので、ここでの内容は詳しく書きません。

 

でも、すごかった、、。

ものすごく真剣な「場」でした。

ぶっ通し、語りっぱなしの怒涛の三時間、、。

 

言葉は一つ一つ、絞り出されるようで、葛藤や苦しみや、

それでも前を向こうとする姿や、、。

 

誰かにとって、大多数の一人の障害者かもしれない。

でも、その子はお母さんにとって、たった一人の大切な子どもで。

 

そんな子どもが行き場がなかったり、差別を受けたりすることがどんなに

苦しいか、、。

将来が不安か、、。

そしてまた、時に育児を投げ出したくなるような、プレッシャーと、苦戦と涙。

子どもに壊される家具と外に走り出さないための工夫。

 

ああ、苦しいな、、。

一人で背負うには、苦しすぎるな、、。

 

と思いました。

 

なので、もっと社会は認知すべきだし、みんなで支え合えたらいいし、

療育手帳をもらえない子どもでも、

育児の代行など、お母さんの物理的、精神的負担を減らす行政からのサポートもあるべきだと思いました。

 

でも、16人の参加者が、一人、一人、長い時間をかけて、

自らの言葉で語ってくださったことに、私はやはり意味があると思います。

 

一人、一人が、主体であることがとても大事だと思うからです。

 

そして一人が話し終えると、

よく話してくれたね、という温かい拍手がとても印象的でした。

 

内容は載せれないけれど、こういうお母さん達が沢山いること、

サポートを必要としていること、本当に知ってほしい、、、。

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そして、その次に、涙の樹、慈雨の樹、レインツリーを作りました。

 

ヨガの時、沢山の保護者さまがずっと泣かれたことが、

心にひっかかっていました。

 

最初はその悲しみの大きさを

受け止めることができるだろうかと感じました。

 

でも、、もしこれを投げ出したならば、

私自身なんのために、悲しいことを見続けたのだろかと思いました。

 

涙は絶対に、その先があると信じたい。

沢山泣くことは、沢山考えること、

様々な痛みに気付くことだと私は思います。

 

精神障害や発達障害など自閉スペクトラムの家族を持つと、

人の何倍も考えることがあります。

日々のこともそうだけれど、

どうしてこの悲しみが私のや家族の人生にあるのかと

何度も問いかけたくなります。

 

そして他者と分かち合えない孤独を知る。

 

たぶん、今皆さんは、ある種の重みを子どもと分かち合いながら、歩いているのだと

思います、そして実はそのような重荷を負った人が、形は違っても

沢山いるのだと気づいてきているのだと思います。

何度も問いかけながら、より深い人間性を獲得してゆくことも

あるのだと私は感じるのです。

 

自閉症の子どもをお持ちにお母さん達には、本当に綺麗な魅力的な人がいると

私はよく感じます。俗っぽい世間話をしながらも、仏様みたいな深い美しさを

湛えた人がいます。

それは身を粉々にするような涙を潜り抜けてきたからだと私は感じます。

 

浅はかではない、美しい声で笑うなと感じるのです。

それで、今回、私は涙の樹、レインツリーを作ろうと思いました。

 

私の好きな言葉に『慈雨』という言葉があります。

 

慈しみの雨と書きます。

 

この言葉を聞いた時、あまりの美しさに慈雨君と言う名前の

青年のお話を書いたくらいです笑。(今はICUの図書館に眠っていますが)

 

涙=慈雨

 

慈しみの雨となって、地中に沁み、樹々に巡り、いつかきっと葉を茂らせ、

 

花を咲かせる糧となる、そういう祈りを込めて慈雨の樹を作ろうと思います。

 

涙の形をした蒼い葉っぱの表には将来の夢を、

裏には同じ立場の保護者さまへのメッセージを

書いてもらいました。

 

写真は骨組みだけですが、葉っぱをつけたレインツリーは、近日中にアサヒ薬局に展示する予定です。

 

 

ピアサポート、、。どうか、同じ立場の人を癒しますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

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そして、最後はお待ちかね、、!

 

Old and Newの大野さんのライブです!!!!!!!!!

 

私の時間配分の手際の悪さで、長丁場へとへとのふらふらになっていた皆さまですが、音楽の力ってすごい!!!

 

今回、お母さんたちへ、何か一つ、切り捨てて、新しいスタートを切るための応援歌として、

 

『グッバイ イエスタデイ』をプレゼントしたくて、大野さんに無茶ぶりしたのですが、

 

この短期間に素晴らしい仕上がりにしてくださいました。

 

「さよならから明日がはじまるグッバイイエスタデイ、、ハロートゥモロウ、、。」

 

という透明な光に満ちた歌詞と、

 

大野さんのやはりお人柄を反映した温かな歌声に、

 

お母さん達の眼から涙が押し出されるのを見て、

 

今までずっと色んなことを我慢してきたのだろうな、いっぱい頑張ってきたのだろうな、

 

と、思いました。

 

私はこれを書きながら、まだ、出会った皆さんのことを心配し、

歩き続けることができるだろうかと胸が痛む。

 

安易に大丈夫だよと軽々しくも言えない。

 

でも、伴に歩きましょう。

 

「I'm here I'm here」

 

とお互いに声をかけながら。

 

 

明日からまた新しい朝を迎えるお母さんたちを、

 

少しでも優しい光が包んでくれますように。

 

そして、親子で過ごす音楽イベントをしてほしいとの声が多数

ありましたので、これはまた涼しくなったらやりましょう(^^♪

 

 

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さて、ここからおまけ、、。

このイベントの前に、Ricoちゃんが、イベントに来られるお母さまの癒しになるように、頑張って沢山アクセサリーを作ってくださりました。うちの子は魚好きの少年が来るからと魚を釣っていた、、。

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ここからは、お悩み相談への返答ですので、長いので、読みたい人だけ、、。

 

 

 

お悩み相談の中に、成功例が知りたいという相談があり、

私からは本や先輩ママさんへ相談し、その返答を紹介させていただきました。

子どもの将来が不安だから、いい例を知りたいという相談です

 

まず、現状はどうなっている?のかということです。

就労の場としては、自給平均724円、月にして6万ほど給料が支払われるA型就労所、

自給工賃がでるB型就労所と国が法廷で2%ほどの雇用を義務づけている一般企業枠というものがあります。

 

障害年金など公的機関でチームを組んでサポートしてくれる、親が亡くなった後も、重度の自閉症の方には、公的サポートがつくから、安心していいよ。という意見をいただきました。

ただ、そこまで重度ではない子どもたちの将来に関しては、今から色々と変えてゆかなければいけない現実もあります。

 

でもまず、成功の定義をとらえ直す必要があるかもしれないというのが、先輩ママさんのお話、それから私自身の経験や、後に紹介するべてるの家のシリーズから、私が感じたことです。

障害と関わりなく生きている人々にとって、毎日きちんと働いて出世して、というような社会的成功が、成功と言う概念が潜在的にあります。

でも、社会的成功が成功という既成概念を一度払い落とし、こどもとお母さんの幸せが成功という考えにシフトし直すことが必要になりそうでした。

実際これは、とても苦しい脱皮だと感じます。

私たちはどんなに綺麗ごとを言っても、社会的通念に縛られています。

 

でも、どうして、この価値観の転換が必要かというと、発達障害や自閉症などの障害を抱えた方にとって、普通と同じにする、ということは、本人がいくら望んでもできないことでもあるからです。

記憶が持たなかったり、感覚過敏があったり、すぐに疲労したり、言葉が話せなかったり、外に出ることも、服をきることもできない子も沢山います。

これは以前読書会で紹介した東田直樹さんの『自閉症の僕が跳びはねる理由』を読んでいただくとよくわかりますし

MRIの結果などから、一分の脳の萎縮や、神経伝達物質の形成に問題があるということもわかっており、本人のせいではなく、脳の機能障害でそうなってしまっています。

社会的成功が成功ととらえていると、子どもは、そうではない自分に対し、自己否定感と劣等感を持ち、症状はさらに悪化してしまいます。社会に居場所を感じず、孤独の中に閉じ込められ、本当に辛いことになります。そして、鬱や統合失調症などのより重度の精神障害を引き起こしてしまいます。研究によると、ADHDの青年期の患者さんの多くに、鬱やパニック障害、統合失調症などの精神障害が合併症として起こっています。これは、社会に自分が受け入れてもらっていないという辛さに起因しています

 

製薬会社のHPにバーチャルADHDというものがあります。ADHDを体験するプログラムです。

自分に置き換えて、周囲に言われていることが、しようとしてもできず、怒られてしまうと想像してみてください。

靴紐が結べない、怒られても内容を記憶できない、周囲はそれをなんなくできている。先生は自分のことを怒ったり、泣いたり悲しんだりする。

でも、その自分からは逃げることはできない。それは想像を超えてきついことだと私は思います。

なので、どんな特性でも、まず、何より、その子ども自身を認めてあげることが本当に大事なことだと私は思います。

子どもにとって母親はどうやっても、一番だいすきな人です。お腹にいる、無意識の時から、子どもは母親を愛してます。

その人に愛され、大事にされることが、後の人間関係のベースになるのです。

あなたがそのままでも、大事な存在だよ、というメッセージを浴びるほどに、子どもに感じさせてあげてほしいと思うのです。子どもが自信を持つということをしてあげてほしいのです。

その子のためと思って、治るよう、普通になるよう、祈っても、余計にそうできないその子を追い詰めることになります。でも、それを家族が諦めることを学習したとき、障害のままのその人を受け入れることができるとき、不思議と本人も家族も笑うことができるし、未来も拓けるのです。その子どもが、自分を愛することができるようになったとき、変わるのです。

このことに私が気づいたのは、べてるの家の本『悩む力』に出会った時でした。

べてるの家は北海道浦賀にある精神障害者の会社です。

 

べてるの家については、後に詳しくみんなで勉強会を開いてみたいと思いますが、

 

 べてるの家では、なんらかの精神障害を持った方々が、できないことを前提にして、補いあいながら会社をしているのですが、幻聴幻覚大会や、問題があることが順調とか、今までいけないこととしてレッテルと貼られていたことを、見事にユーモアにかえ、愛すべきものとして、社会に公言しているところです。ただ、単に公的な作業所のような場所ではなく、弱さを絆に、人々が支え合っています。今では全国各地に、当事者の方が出向いて、自らのことを語っています。

でも、べてるの家の本たちを読み、感じたのは、理解のない場所で追い詰められた精神障害者の現状でした。どこでも否定され、仕事にも長くつけず、自分の存在を悲しくてしょうがなくなっている人々が沢山いました。そしてそのベースに、発達障害などの障害がある方がいるのを多く感じました。でも、べてるの家にたどりつき、その存在をありのままでいいよと、許されて、ユーモアを持って受け入れられた時、障碍者にその主体性が認められた時、彼らが尊厳を取り戻してゆく姿がありました。プリントを配布していますが、べてるの家を読むと、今まで、隠し、治そうとしていた精神障害への概念が、がらがらと崩壊してゆきます。そして、様々な困難を抱えたまま、進んでゆく彼らに非常に勇気をもらうのです。

べてるの家からはDVDも本も沢山出ていますし、うちの患者さまで、べてるを訪問して、佐賀でも同じようなホームを作った方もいらっしゃいますし、いつかまた皆さんとゆっくりと、本を読んだり、方法論を学んだりしてみたいと思っています。