どこまでも飛んでいこう ハートアート倶楽部 アサヒ薬局が大きなキャンパスになりました

その日、調剤室で薬を作っていると、店内からの明るい笑い声に、ふと手が止まりました。

 

まるで、花が咲くという表現がぴったりの、そんな笑い声でした。

そして、その笑い声は、ある風景を思い起こさせました

それは、以前テレビで見た、スペインの花盛りの中庭の風景でした。

 

薄暗い通路を抜けると、ぱっと溢れる光。

 

抜けるような青空。つりさげられた洗濯物。

 

そして、壁一面を埋める真っ赤な花々。

 

懐かしくて、逞しくて、秘めたる情熱で溢れる、秘密の庭。

 

子どもや父親や、おじいさんや、そんな者たちを包み込む母の力。

 

店内をアートで埋めてゆく、ハートアート倶楽部のお母さんたちの、絶えない、光が揺れるような笑い声は、

まるで、そのスペインの中庭のような、懐かしさと力強さと、情熱に溢れていました。

 

 

 

 

ハートアート倶楽部。

それは、金立特別支援学校の卒業生の母親たちが、子どもたちが卒業後も楽しめる場所を作りたいと、

作られたアートグループです。

普通の子どもたちには遊ぶ場所が沢山ある。でも、障害のある子どもたちが楽しめる場所はあまりありません。

それならば、自分たちで作ろう!そう、彼女たちは決めました。

 

アサヒ薬局にも長年ゆかりのある子どもたちです。

重い知的障害のある子。声の出ない子。車いすの子。

体も思い通りには思い通りには動かせません。絵筆も握れない子もいます。

 

でも!絵筆は握れないけれど、スタンプなら、押せるかもしれない。

ローラーなら使えるかもしれない。

 

そして編み出されたのは、ダンボールの鳥たちに、子どもたちができることで

色をつけてゆくこと。

 

 

 

月に一度、子どもたちとお母さんが集まり、笑いながら、話しながら、沢山の鳥を作ります。

そして、この度、アサヒ薬局にも、鳥たちを飛ばせてくださったのです。

 

そして、その鳥たちは太陽を目指して飛んでいます。

 

たとえ、歩くことはできなくても、心は自由で、大空を思い切り飛ぶことができる。

 

障害があっても、その自由を一人、一人、ちゃんと持っている。

 

そのことをしっかりと教えてくれる気がしました。

 

 

それから、ハートアート倶楽部のお母さま方は、ごめんなさい!ごめんなさい!と言いながら、、、

 

入り口やら、、、!

 

旧店舗やらを、あっという間にキャンバスに換えてゆかれました、、、!

 

すごいパワー!

 

 

 

その後、お母さま方と話したこと、あまりに素晴らしい内容でした。

 

すっきりとすべてが解決することはない。

 

ジェットコースターのように、いい時も悪い時も、交互に訪れる。

 

でも、

 

その子どもを、その姿のままに受け入れたとき、

 

この子はこの形のまま、

 

なんでもできる、そのことに気付いた時に、人生は豊かに、なる。

 

 

アサヒ薬局には、子どもの障害と付き合い始めの不安でいっぱいのお母さんたちも沢山来られます。

その方々に今日聞いた話を、伝えてゆけたらと思いました。

 

 

 

 

余談ですが、私は、彼らの卒業した支援学校の学校薬剤師を勤め始めました。

 

学校の中で、足の動かない小さな少年が、マットの上で、上半身で何度も移動しようとする、姿。

車いすから、ボールを投げ、つまらなそうに口を曲げ、こっちを見ている少年の薄紅色の頬、透明な瞳。

 

頑張れ、頑張れ、心の中で、何度も唱えながら、ダニ検査をしながら涙ぐんでしまうのでした。

 

今から、彼らの先に青空が待っていますよう。

 

青空を飛ぶ前の長い一歩、一歩に心からのエールを。

 

 

旧店舗、新店舗キッズコーナー伴にご自由にご覧ください。

旧店舗はカギがかかっていることがありますので、スタッフにお声かけください。